「遇客婚」から考える自転車界の「新しい血」とは。

 

旅先で「うちの嫁を召し上がってください」なんて言われたら?!
中央アジアの遊牧民族に「遇客婚(ぐうきゃくこん)」という風習がある。それは見知らぬ旅人が村を訪れたら、食事と酒と寝床と自分の妻を一夜差し上げるというものだ。旅人に妻を与えると言うことは、すなわち違った系統の遺伝子を獲得して村の未来繁栄に結び付けると言うことである。モンゴルあたりのステップ地帯では人口密度が極端に低く、隣の村まで100kmなんてザラだ。そんなわけだから、どうしても近親交配が多くなって血が濃くなる。そうなると、知的障害や先天的疾患を持つ子供が増える。そこで時の村長は経験的に考えた。「そういやあ以前、旅人にやられちゃった村の女がいたけれど、その子供はなんとも頭がよくて健康だ。旅人の種をもっともらえばアホばっかりのこの村に光明が差し込むかもしれん!」かくして御触れが発せられた「旅人が来たら村の女に中出しさせろ!嫁さんでもかまわん」
ある説によると、この「遇客婚」と言う風習は中央アジアだけでなく太古には全世界に存在していたらしい。現在では世界人口の増加とグローバリズム化によって絶滅寸前の風俗だが、噂によると中国の雲南省の山奥で今だに遇客婚をする民族がいるとか?
「よっしゃ。次の連休は雲南省に放浪旅行や! タダ飯タダ酒タダ宿。それにただマンコ! 最高やんか」と早とちりしてはイケない。酒や食事が口に合うとは限らないし、寝床だってノミや南京虫だらけ。おまけに登場した奥さんはマツコ・デラックスを崖から突き落としてからガッツ石松が二時間殴り続けたような風貌で、あまり風呂に入る習慣もないからアソコもくっさくさ! もちろん拒否は出来ない。前戯はいきなりシックスナインだ。さあ。それでも君はそこに行くのか?!

 

混血ハーフは能力が高い!?
「偶客婚」のアバンチュール的魅力は別にしても、多様な遺伝子を交配させることは人類の進化にとって大事なことだ。犬でも猫でも純血種って病気しやすいけど、雑種の方は元気で生命力も強い。つまり、外部からの新しい血を受け入れることは、優秀な子孫を誕生させることに他ならない。そう考えると、昨今のハーフたちの活躍はうなずける。ダルビッシュにムロブシ。最近ではサニブラウンやらケンブリッジやらオコエやらにも期待のお声がかかっているし、芸能界ではベッキーとかローラとかキャロライン洋子が僕は好きだ。
しかし思えば、日本の自転車界でハーフの選手って見当たらないよなあ。僕が現役の頃はネアンデルタール人とのハーフと推測される選手が何匹かいたけれど・・・!?
では日本自転車競技界の未来を見据えて、新しい遺伝子獲得のためJCF推奨の遇客婚制度をつくるというのはどうだ。ツアーオブジャパンやジャパンカップで来日した世界クラスの選手に日本女子強化選手と付き合ってもらい、次世代に世界を狙える日本代表を国家プロジェクトとして育てるのだ!って無理かぁ(汗)。それにしても世界レベルの外人選手と結婚する日本のトップ選手がいても良いと思うんやけどなあ。

 

「新しい血」は「新しい知」なのだ。
さて「新しい血」を入れることは身体的な進化のためだけではない。会社や団体の中に異業種の人間の息吹、つまり「新しい知」を取り入れることによりシステムを革新させようとする動きを「遇客婚」から学ぶことも出来る。ソフトバンクの孫正義氏も言っている。「会社に新しい血を注ぐことで、チャンスや可能性が広がる」と。
さて、自転車界を見渡すと異業種からのアイデアは面白い力だ。たとえばタイムトライアル種目で使われるDHバーはもともとトライアスロンから来た。そして、ディスクブレーキもオートバイからMTBを経てロード界に広がりはじめている。
自転車のトラック競技で、日本独自の種目である4km速度競走という種目はスピードスケートのマスドレースが発祥だし、逆にスピードスケートの五輪団体種目であるチームパシュートは自転車競技の団体追い抜きが起源だ。実はタクリーノオイルも工業用機械で多く使われている化学合成オイルを自転車界で試みた「新しい血」でもあった。また、箱根駅伝を連覇した青山学院大学の原晋監督は中国電力の営業マンを経験し「新しい知」を授かったからこそ、優れた指導力を発揮しているという事実もある。
そんなわけで、東京五輪に向けての選手強化で既存の常識に囚われない「新しい血(知)」の流入を活躍のヒントにして欲しい! ということで、東京五輪自転車日本チームのアドバイザーには、混血パワーの象徴、山本リンダさんを僕は推薦したい。これで金メダルを狙い撃ちぃ~♪ 確かまだ生きてはったよなあ。