自転車で走るその道は大空に続いていた! 飛行機発明の秘密は自転車にあり。

 

ライト兄弟は自転車選手で自転車屋でもあったのだ!
最近なぜか「人類の飛行の歴史」に興味を持っていろんな本を読んだ。ダヴィンチが飛行機やヘリコプターの原型を設計していたとか。日本では江戸時代に浮田幸吉なる人が自作の翼で数メートルを滑空し観衆を驚かせ、その後に騒乱罪で捕まったとか。まあ夢と努力が交錯してエエ感じである。そんな中で僕が一番興味を持ったのがライト兄弟のこと。これ自転車と飛行機発明との密接な関係が窺い知れてメチャ面白い。
ご存知の方も多いと思うが、ライト兄弟は自転車屋であり自転車選手(弟のオーヴィル)でもあったそうな。さらに意外と知られていないことは、ライト兄弟のライバルであった同時代の飛行家のグレン・カーチスという人も同じく自転車選手として活躍して自転車屋を営み、後に飛行機の製造をはじめている。
そんなライト兄弟とグレン・カーチスは互いに刺激しあいながら飛行機作りのモチベーションを高め、飛行技術を急速進化させていった。それは言わばシマノとサンツアーのような(ちょっと古いか?!)、もしくはフルームとコンタドールのような。あるいは池乃めだかと間寛平のようでもある。いずれにしてもこの二者の切磋琢磨がなければ現代のジェット旅客機は存在しなかったかもしれない。すると「スチュワーデス物語」を見て、風間杜夫と堀ちえみのクッサイ演技に感銘を受けることもなかったかもしれない。(これも古いか?!)

 

自転車があったからこそ飛行機は空を飛べたのだ
ライト兄弟とカーチスが共に自転車選手で自転車屋だったことには意味がある。実は飛行機の発明と開発は自転車無しではありえなかったのだ!
当時、自転車は貴重品だったので儲けた資金が飛行機の開発に役立ったことや、自転車の製造修理の器具がそのまま飛行機作りに活用できたこともある。チェーン駆動でエンジンとプロペラをつないだことは、その大きな成果だ。ちなみにライト兄弟以前の飛行発明家は「鳥の模倣」である「羽ばたき方式」の思考から抜けきることができず失敗を続けたという。しかし、ライト兄弟たちにとって飛行機とは、あくまで機械装置であり、鳥とは別次元の存在だった。自転車が飛行機発明のヒントになった事実として、こんな言葉が残されている。
「自転車は速く走るための物だけど馬やチータを真似ているわけじゃない。チータには車輪がないからね」
100年前のアメリカではすでにガソリンエンジンの自動車が存在していたけど、庶民にはまだまだ高嶺の花だった。そんな時代、若いスピード狂にとっては自転車こそが現実的に手に入れることのできる最先端の高速マシンであった。まあ現代では自転車というのは健康とかフィットネスとかアスリートの代名詞みたいだけど、その時代、自転車はバリバリの暴走族的秘密兵器でもあったのだ。ライト兄弟もカーチスも、新しい物好きで機械いじりが好き。そんなスピード狂で、知能的にも研ぎ澄まされた人間にとって、飛行機という「未知の空飛ぶ装置」は大いなる好奇心の刺激剤だったに違いない。つまり彼らにとって飛行機とは、自転車で高速快走する延長線上にある「必然」だったのだ。

 

つまり航空業界の人らが食べていけるのは自転車のおかげだなのだ。
そんなわけで自転車は飛行機の創造と進化にメチャメチャ影響を及ぼしたのだ! 嗚呼。素晴らしきかな自転車、と誇りを持とう。
でも、もし自転車がなかったら? もしライト兄弟が自転車屋でなかったら? なんて考えるとどうだろう。飛行機自体の発明と開発はかなり遅れて、たぶん現在の航空シーンはずいぶんと違った物になっていたかもしれない。まだ複葉機が飛んでたりして。いや。ひょっとしてジャンボ旅客機も羽ばたき方式でバタバタ喘いで墜落率が多くて、みんな命がけで遺書なんか書いて搭乗したりして。そうなると「スチュワーデス物語」もあんな軽いノリではありえないよなあ。「教官! 松本ちあき、鶴のマークのスチュワーデスとして見事に散ってみせます!」なんてね。堀ちえみが今でも生きているのは自転車のおかげなのか?!
最後に、空港の手荷物運搬係の人にひとこと物申したい。自転車を積み込みするとき放り投げたらダメよ! もっと大事に扱いなさい。だってそれのおかげであんたらメシ食えてるんだから。