あなたは「忍者タイプ」それとも「武将タイプ」?! 忍者の精神と文化から考える自転車のこと。

 

忍術があれば日本人もツールで活躍できる?!
僕は子供の頃から忍者が大好きだ。「仮面の忍者-赤影」ごっこをしてジャンケンで負けて白影役になった悲しみが忘れられないのも、忍者好きだからこそだ。
そんなわけで、この歳になって懐かしい思いで忍者関係の本を紐解くと何やらいろいろ面白い。松雄芭蕉も楠正成も忍者だったとか、高級食材の伊賀牛がめちゃ美味いのは、忍者の携帯食の干し肉作りのノウハウが生きているとか。
中でも興味深いのは忍者の身体能力についての記述だ。なんでも忍者はジャック・マイヨールが潜水する時にも使った「ブラッドシフト」というテクニックを使って、身体の末端部の血液を脳や内臓に集中させることで長時間水中に潜んだり、脳の活性化による潜在能力を引き出すことで超人的な運動能力を手にしたとも言う。
ちなみに記述に残っている忍者の跳躍力の記録は2m70cmというから、高跳びの世界記録をはるかに上回っている。信じられない能力だと思うけれど、不可能ではないようだ。近年注目されている「GDF-8」という成長因子によって筋繊維の数が増加するのだけど、この成長因子をたくさん持つマウス同士を何世代も交配させたところ筋肉量が通常の二倍もあるスーパーマウスが誕生したと言う。
忍者の歴史は古くて、聖徳太子が「志能便(しのび)」と称する忍者を使っていたらしいから、閉ざされた村で千年以上にもわたって「GDF-8」因子を交配つづけた結果、スーパー忍者が存在したとしてもおかしくはない。
まったく織田信長が天正の乱で伊賀の里を殲滅さえしなければ、三重県は国体の天皇杯を総なめで制覇してただろうし、日本のスポーツレベルはもっと高かったはずだ。自転車だって伊賀忍者の末裔がツールでステージ優勝なんかして、日本の自転車人気はもっと熱いことになっていただろう!って違うか~?

 

精神制御だけでなく科学にも精通していた忍者
忍者は薬物にもとても詳しくて、その名残として伊賀や甲賀地方には今でも製薬会社が多い。忍者は、麻を植えてその上を跳躍鍛錬として飛んだそうだが、バッズ部分はマリファナとして精製し敵の動きをパープリンにしてしまう「アホウ薬」として使用したと言う。こりゃ忍者に一服盛られたら気持ちエエやろなあ~。なんて言ったらあきませんよ(汗)。
他にも、薬草から抽出したアルカロイド系物質を覚せい剤として能力を極限まで高めたことも記録にあるし、天然植物に含まれる成長ホルモン誘発因子による筋肉増強を企てたことも十分考えられる。
さらに、忍者は毒に当たっても平気なよう普段から少量の毒を食事に加え食べていた。それで免疫能力を高めていたと言うのだ! 恐るべき職務遂行への執念と模索された科学ではないか。まるで現代医学のワクチン効果までも予言したような施術である。
そんなわけで、伊賀の里が古来からの文化と伝統を維持していたならなあ・・・三重県体育協会は組織ドーピングで起訴されますよ?!って、これも違うか~。

 

忍者タイプ引退選手と武将タイプ引退選手
忍者を描いた司馬遼太郎の直木賞小説で「梟(ふくろう)の城」というのがある。天正伊賀の乱で一族を殺された伊賀忍者、葛籠(つづら)重蔵が豊臣秀吉の命を狙って伏見城の寝室に潜入するのが、そのクライマックスだ。その時、寝ぼけた秀吉に重蔵はこう語った。「おまえの通力は大勢の他人を思いのままに動かすことだ。そして、俺の通力とは自分の心と体を自在に操ることだ。すなわち一対一の今ここで俺はおまえの命のすべてを握っている」
これって、まるで引退後の自転車選手のことを言ってるみたいだと思った。武将の秀吉は「人の心を操れる」これは会社の経営者とか監督とかコーチの通力である。一方で忍者は「自分の体と心を自在に操る」これは職人であり、引退後も走りつづける人なのだと。例えば浅田顕や栗村修は武将タイプで後任の指導に熱意を燃やすし、三浦恭資氏や大石一夫氏は今でも走りつづける忍者なのだなあ。まあ大阪には山崎さんや安原さんみたいな忍者の棟梁もいるけどね。
司馬遼太郎によると忍者には「無償の精神」があるという。自らの名をあげることに興味を示さず、特定の大名に服従することなく、悟りと現実の間で生きるのが忍者の本質だと。うーん。かっこエエ。よし。僕も忍者型引退選手として日々精進するぞ。まずはアホウ薬を探しに行こう。って、もういいですか。