フルームコンタドールって何語で話してるの?

 

ヨーロッパの人は何ヶ国語も話せるのだ
ツールの中継をテレビで見て、考えさせられることがある。それはヨーロッパ民族の多重言語性についてだ。
イギリス人のフルームとスペイン人のコンタドールはレース中に何語で話してるのか? やっぱり英語か。では、イタリア人のニーバリとフランス人のピノーはどうだ? ジロではイタリア語で、ツールに来ればフランス語か? サガングライペルの会話はどうだ? 想像もつかんなあ。
レース後のインタビューも、ヨーロッパはメチャ多言語だ。最初フランス語で喋っても途中から英語に変わったり、答える選手もそれに応じていろんな言語を取り混ぜながら応答する。僕ら単一言語民族の日本人にとっては考えられない所業だ。それはJスポーツの解説で三船雅彦氏が、最初は頑張って標準語で喋っているのに、最後にはスッカリ関西弁になってしまっているのとは少しわけが違う。
そもそもヨーロッパでは2ヶ国語や3ヶ国語を話す人が普通である。ちなみに、カンチェラーラは五ヶ国語喋るらしい。ベルギーやスイスでは公用語が3っつも4っつもあるし、当然学校でも多言語の習得が必須だ。だいたい、言語境界あたりに住む人らにとったら1言語だけじゃ買い物に行くのも不便なのだ。
大阪弁が宇宙の共通語だと思っているヒョウ柄のおばちゃんには考えられん世界がそこにはあるのだ。

 

二人合わせて五ヶ国語も話せたけど?!
僕がその昔バックパッカーとしてヨーロッパを旅していた時のこと。スイスのバーゼルという町にたどりついた。そこはドイツとスイスとフランスの境界が接する、まさに多言語の象徴みたいな町だ。僕は荷物を預けて街を散策しようと思い、駅の手荷物預かり所におもむいた。係りのおじさんに片言の英語で「荷物を預かってください」と言うと、彼は英語が分らないらしく、ドイツ語で返してきた。僕がポカアンとしていると、今度はフランス語で話し掛けられた。それも分らない。するとおじさんは最後にイタリア語らしき言葉で話してきた。もちろん分らん・・・。うう。仕方なく日本語でもう一度トライしたが当然通じない。そんなわけで二人合わせて五ヶ国語も喋れるのにけっきょく通じ合えずに重いバックパックを背負ってヒイヒイ観光したのだった。
でもなんとなく分ったのは、ヨーロッパ人同士のコミュニケーションって、そんな感じだろうということ。お互いの言葉を探りながら共通の言語に行き着くのだ。きっとプロトンの選手たちも、分かり合えそうな言葉を投げかけて、喋れる数ヶ国語の中から意思を疎通を試みるのだろう。なんか面倒くさいような気もするけど。

 

多言語を習得すれば脳が活性化する!
僕らにしてみりゃ、EU統合や通貨統合までしたんだから、言葉だって一つにまとめりゃ便利で楽なのにと思うのだけど、ヨーロッパ人はどうもそんなことは考えていない。逆に「言語はその国その人のアイデンティティーだから、蔑ろにできない!」てな意識が高いのだ。EUには23の公用語があるけれど、絶対優位言語というのはない。会議や文書で意見を発表する時も自国語だけでOK。通訳や翻訳がすべてに回されて理解し合えるシステムになっている。少数派の言語にも尊厳を抱き、通訳や翻訳の経費を惜しまない。それは彼らにとってメチャ重要なことなのだ。そんなわけで「ツールではフランス語で喋らなアカンたれヴー」てなことは決してないのだ。※ちなみにツールと世界選のコミュニケはフランス語と英語です。
ところで、ある説によると、多言語を操る人間の脳にはある意味の活性化がおきるという。言語の壁を超えた人類表現の根幹が把握できるので、多言語話者は理論的で決断力があり、老人性痴呆症を起こす確率も少ないという。つまり多言語を習得することは頭に良いことなのだ!
ヨーロッパ人の持つ多言語主義には、単に「民族に対する尊厳」だけでなく、「人類としての意識レベルの充実」という役割もあるということだ。


そんなわけで、単一言語民族の日本人に提案したい。外国語を勉強しよう! 色んな言語理論の交錯によって脳が活性化するのは違いない。特にヤングの自転車選手たちが海外のチームで活躍するために語学は走力と同等に必要な能力だ。
OK! ミーもトゥデイからフォーリンランゲージのスタデイにドゥーマイベストやで! ああ。ルー大柴の凄さがわかった!?