あなたは死んだら火葬?土葬?それとも自転車葬!?

 

お葬式を考えることは人生を前向きに考えることだ。
最近になって驚くべきことに気づいた。それは「人類悠久の歴史の中で、死ななかった人はいない」という事実だ。人は死ぬ。いつか死ぬ。なんて恐ろしい事実! でも死んだ後にはあの世があるから大丈夫。天国では「酒は美味いしネーチャンはキレイだ♪」とフォーク・クルセダースも歌っておる。だから死後にも乱痴気パーティーが楽しめる、と思ったらちょっと違う。法華経の経典によると、極楽には女性もセックスもなくて、人間は蓮の花から誕生し、鳥のさえずりや川のせせらぎが常に説法やお経のように聞こえると。なんかイマイチつまらなさそう・・・。それならば地獄の方が面白いんじゃないかと、ある男が閻魔様の脇にある地獄の扉を隙間からのぞいてみたら、たくさんの男達がそれぞれ一人の女と裸でピッタリ身を寄せ合っているではないか。「閻魔様。私を地獄に行かせて下さい。こっちの方が色気があってよさそうだ」すると閻魔さん。「ありゃお前達の女房だよ」
まあ死後の世界のジョークは置いといて、はっきりしているのは「誰もがいつかはこの世から意識を消滅してしまう」ということだ。そう思うと、自分の短い人生をいかに有意義なスタンスで生きるべきか考えるだろうし、どういった死に方をするべきか熟考するだろう。ある説によると、自分の葬式のことを頻繁に想像する人は、計画性があり人生に対して前向きであるそうな。こりゃ極楽トンボのままではイカン。葬式のことを考えて前向きに生きよう!

 

「宇宙葬」は地球周回軌道から遺族を見守る。
そもそも葬式って死者の霊を弔うためじゃない。遺体は腐ってメチャ気持ち悪くなるし腐敗臭を遠ざけるとか、あと病原菌の発生を防ぐための隔離とかが本来の目的であったらしい。日本で最も一般的な「火葬」はそうした問題をキレイさっぱり解決してくれるし、「土葬」もやはり地中菌による遺体の化学的分解で大地の肥料にもなる。
ところで僕は昔から「鳥葬」に興味があった。「死後に鳥の一部となって大空を駆け巡るなんて素晴らしい。自分の葬式は鳥葬や!」と考えていたのだけど、ある鳥葬の動画を見たらズタボロになった死体がハゲタカに突っつきまわされて目ん玉どろーって落ちて無残な肉塊が恐怖! チビってそれはあきらめた。いずれにしても日本では死体遺棄損壊罪になるらしいけど。
死後に天空を巡りたいならもう少し洒落た方法もあって、「バルーン葬」なる葬式は文字通り風船に遺骨(遺灰)を入れて成層圏で破裂させ千の風に乗せて世界を彷徨うというものだ。もうひとつ「宇宙葬」というのはシリンダー容器に入れた遺骨をロケットに乗せて打ち上げ、それを地球周回軌道上に放ち人工衛星のように天から地球遺族を見守るというものだ。さらには遺骨を月面に着陸させる「月面葬」。究極は、惑星探査機に遺骨を乗せて太陽系外へ永遠に旅立つ「永遠宇宙葬」がある。最終的にはミスター・スポックと形而上学の融合ができる時空を超えた葬式だ。

 

「ダイヤモンド葬」があるなら「カーボン自転車葬」だって。
その他にも「水葬」やら「風葬」やら「樹木葬」やら、故人の肉を食べる「食人葬」。ネット上に脳内情報をインプットしてPCでお参りと対話が出来るという「電脳葬」って?! こうなると葬式じゃなくて、あの世とネット世界の親和性がまるで甲殻機動隊だわな。
イロイロ考えると、僕たち自転車好きに「自転車葬」があっても良いのではないか。高名な自転車選手の葬式ならば、エンバーミングによる処理で遺体をミイラ化させて現役時代のユニフォームで自転車に跨らせたうえ葬檀に捧げ故人の生前の栄光をねぎらうというのはどうだ。ヴィジュアルはキツそうだけど、死体損壊罪には問われまい。また横山やすしの遺灰が宮島競艇場に散骨された例を考えるなら、活躍したトラック競技場やロードコースに遺灰を撒くのも趣があるだろう。(施設や周辺住民の同意が必要です)
さて。面白いのは「ダイヤモンド葬」だ。故人の遺骨の炭素原子を高温高圧に処理してダイヤモンドを作り出し、それを遺品とする葬儀だ。それならば、故人の遺骨炭素でカーボン繊維、そして自転車のカーボンフレームやカーボンパーツを形成することも理論的に可能に違いない! 未来の自転車好きは「カーボン自転車葬」が主流になるのではあるまいか。それがビジネスベースに乗ったらこれまた大変なことだ。お金に困った有名選手の遺族が遺骨カーボンを売り出したらどうなる?! 「ルイゾン・ボベ(ツール史上初3連覇)の遺骨カーボンフレーム1000万円!」とかヤバイでしょ。「お金は現世だけの価値だから。勝手にすれば」ボベさんはそう言いながら夫婦地獄で強制シックスナインの刑を受けているのかも。