エントロピーの法則に反するおっさん選手成長の理論とは何ぞや?!

 

僕は来年50歳になる正真正銘のおっさんなのだけれど、時おりレースに出場してはその緊迫した雰囲気を味わえる自分に崇高な野生のカケラを見いだして喜ぶという自慰行為を楽しんでいる。
これでも昔は全日本上位クラスで通用した選手だったこともある。でも今となっては、レースはあくまでも楽しみの一つであり、美味いビールを飲むための手立てであり、そのため酔っぱらってエロビデオで本当の自慰行為を楽しんでしまうこともある。
ところが最近こんなイタイケなおっさん選手ライフを楽しんでいる僕に妙なプレッシャーをかけようとする人たちがいる。それは異常に強いおっさん選手たちが巷に横行しているからだ!
TTで若もんをねじ伏せて優勝してしまうご存じシルベストの山崎さんや、僕と同じ年の49歳で1KmTTを1分9秒台で走ってしまう四国の矢野賢児選手、そして店長選手権チャンプの大石一夫選手などなど。もちろんここに挙げたのは僕が知りうる実例の一部で、あななの近くにも怪物のよう豪脚オヤジがアドレナリンをブチュブチュ分泌させながらスネ毛を剃っているに違いない。
でも考えてみれば、年老いていくのに若い頃からの力を維持しつづけたり、時に進化成長している選手を見ていると、なんだか不思議な気分に襲われる。それは自然の法則に反しているんじゃないかと。
さて「エントロピー増大の法則」というのをご存知だろうか。これは宇宙の物理法則の中でも真理重要なもので、まあ簡単に言うと「海にジュースをブチまけばジュースの分子は拡散してバラバラになる。そしてそれは自然にはジュースとして元の通りに集められることは決してない」と言うもんである。
つまり「すべての物質は一つにまとまって整理された状態から拡散して乱れた無秩序状態に変化していく」ということである。家の中だって放っておけばゴミやホコリやガラクタがどんどん増えてゴミ屋敷に変化していくのも「エントロピー増大の法則」の結果と言えるかもしれない。
人間の体も「エントロピー増大の法則」によって細胞レベルで崩壊を繰り返し初期の機能を次第に失っていく。それを僕たちは「老化」と呼ぶ。ところが先の豪脚おっさん選手たちは宇宙の理論をあざ笑うかのように、自らの存在と能力の卓越によって大自然さえも超越しようと目論むのだ!
いったい何が起こっているのか? サプリメント類の充実か。トレーニング科学の発達か。はたまたスポ根ドラマが少年期の脳細胞に与える分泌酵素の突然変異か。それともメルモちゃんの秘密のキャンディーをブラックマーケットで入手することに成功できたのか。
ちなみにベニクラゲという生物がいる。これは地球上の動物で唯一、個体としての死が見受けられない種だという。数年生きたベニクラゲはある時、幼生へと変身して赤ちゃんから人生をやり直すというのである。これは「不老不死」のモデルとして完璧だ。
風説の域を出ないが、このベニクラゲを食すと不老不死の体質が得られるとも。だから、ひょいと大石さんの家など拝見したら、水槽に大量のベニクラゲと裏庭の干物が発見できるかもしれん。
まあ科学の発達した現代では、その他にも「血液クレンジング」から「バイアグラ」まで老化を抑える手段は事欠かない。人間の不老に対する欲望の凄まじさをヒシヒシと感じるけど、一方で面白い説を知った。
「生命の発生はそもそもエントロピーの法則に反している」というのだ。そりゃ考えてみたらそうだわな。生命は無秩序から秩序ある生体とシステムを作り出しているのだから、エントロピーと完全に矛盾している。この宇宙で生命こそが異質な存在だというのだ。つまり、エントロピーに反することこそ僕らの本質なのだ! ちなみに「だから生命は神が創り出した」なんていう人々もいるぐらいだ。
そう考えると、豪脚おっさん選手たちの存在って、人間的で神秘的で、そして愛すべき尊いものだなあ。おっさん選手の定量性に乾杯! ああ。僕も自慰行為の放出拡散エントロピーを抑えれば少しは速く走れるつうことかなあ。めこっ!